ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 

 この日記を読めば分かるように、おれは基本的に感傷的な人間で、過去の思い出に耽溺してノスタルセンチな気分になるのが大好きな「思い出中毒者」なんだけれども、実際のところ、今までの人生に、中毒するほど美しい思い出があるか、といえば、そんなものがあるわけもない。じゃあ、全然無いのかよ、と言われれば、それはそれでまた違うのだ。さすがのおれでも、在りもしない思い出に浸ることは難しい。大体は実際の思い出を再編集して愉しむことが多い。思い出を切ったり貼ったりする。ささやかな美化を行う。意味を置き換える。
 そんなことを続けていくと、編集前の記憶は段々と曖昧になってゆく。「現実と虚構の区別がつかない」なんて、いかにも三文小説に出てきそうな文章だけど、しかしそれは実際に起こってしまうことなのだ。もちろん、記憶として残っているからには、実際にそのようなエピソードがあったことは事実なのだろう。事実関係を改竄するような編集を行うことはそれほど多くない。わからなくなるのは、そのエピソードについて、自分がどう感じていたのか、ということだ。当時がつまらないと感じていたものが、再編集によって輝かしいものに変わる。その逆もあるだろう。どちらにせよ、わからない。あの夜も、あの夜明けも、自分がどう感じていたかはわからない。感覚は思い出すたびに変化するものなのだ。

さて、一応この文章は日記なので、ここからは今日のことを書く。歌舞伎町に「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」 を見に行った。

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