シフォン主義/相対性理論

太平洋 大西洋 ここ一体何平洋よ
スマトラ警備隊」

これほど壮大な詞があるだろか!言葉が歌に載せられたその瞬間!僕らの眼前には、数多のX平洋がありえる世界が、極平洋や漠平洋が存在する世界が、いとも簡単に成立してしまうのだ。わずか六文字にこれだけの世界を凝縮して放つ才能は、古の俳人と比較しても何ら遜色のないものだと言ってしまおう。しかも、この娘は、自分の現在位置を問うて、X平洋という単位でそれを把握しようとしているのだ。このバンドの他の歌でも、自分の居場所がわからない、という状況は歌われているのだが、

ここ ここ ここはどこ 宇宙
「LOVEずっきゅん」

ここでも、答えとして用意されたのは「宇宙」という、地図を拒否するほど巨大なランドマークである。「どこ住んでるの?」「太平洋沿岸」「普段どこ行くの?」「宇宙」という不毛な合コン力。どの海を漂っているかさえわかれば、それで十分なのだという思想。どこにもいるかもわからないが、どこにいたって問題ないし、君が誰かはわからないにしても、世は全てこともなしだぜといった極めてストロングな態度。それ即ち、我々がいくらすれ違ったとしても、待ち合わせ場所を宇宙に指定している限り、ふたりはいつだって会うことができるということなのです!このスケール感、己の立ち位置ばかりに汲々とする僕たちもぜひ見習うべきですね!ちなみに、前出の歌詞には続きがあります。

太平洋 大西洋 ここ一体何西洋よ
スマトラ警備隊」

これほど壮大な詞があるだろか!言葉が歌に載せられたその瞬間!僕らの眼前には、数多のX西洋もありえる世界が、極西洋や超西洋が存在する世界が、いとも簡単に成立してしまうのだ。わずか六文字にこれだけの世界を凝縮して放つ才能は、古の俳人と比較しても何ら遜色のないものだと言ってしまおう。しかも、この娘は、自分の現在位置を問うて、X平洋という単位でそれを把握しようとしているのだ。また、この世界では、目の前にいる君が誰なのかもわからない。

きみ きみ 君は誰 wantyou わたし冒険少女 アマゾン帰りの 恋するハイティーン
「LOVEずっきゅん」

ここでは、君の正体を問うていたはずなのに、いつのまに答えは自分の話に摺り返られている。しかも、それは明らかに嘘なのである。
答えとして用意されたのは「アマゾン帰りの恋するハイティーン」という、解釈を拒否するほど傲慢なハイティーンである。「君だれ?」「アマゾン」「普段何しているの?」「ハイティーン」という不毛な合コン力。素敵な設定さえ思いつけば、それで十分なのだという思想。君やわたしが誰であるかはわからないが、誰であったって問題ないし、例え誰であったとしても、世は全てこともなしだぜといった極めてストロングな態度。それ即ち、我々が何者であったとしても、何かしらの自己紹介を捏造し続ける限り、ふたりはいつだってふたりが本来そうあるべきだった姿で会うことができるということなのです!このドリーム感、嘘がばれることに恐々する僕たちもぜひ見習うべきですね!

あ、前置きが長くなってしまいましたが、http://www.myspace.com/soutaiseirironここで今回紹介した歌を聴くことができるようです。