バカが床屋談義して、何が悪いの?

バカな人間は喋ってはいけない。無力な人間は何もするべきではない。優秀な僕たちの邪魔になるからね。
これはおれの被害妄想である可能性が高いんだけど、どうもそこかしこでそんなことを言われているような気がしてならない。
バカと暇人のものであったはずのインターネットにまでこうした論理が幅をきかせるようになった気がして、おれはとてもさびしい。まあ、皆の言わんとすることもわからないじゃない。自分の専門分野で、まったく見当違いなことをわあわあ喚かれたら、うっとうしくもなるだろう。バカはたいていこれまで議論の前提を無視して話をはじめてしまうし、自分の感性に無意味な自信を抱いているもんだから、もう全く勉強なんてしないもんな。最近の世の中の動きからすると、バカが好き勝手に喋りだすことは「うっとうしい」を超えて「恐ろしい」の領域に足を踏み入れているような気もするし。
それで、みな「バカは黙れ」っていうわけだ。
バカは黙れ。
ほんとうのバカなら、エリートに何を言われたって関係なく喋りつづけてくれるんだろうが、おれが心配しているのは、バカのくせに他人の顔色を伺う程度には小利口な連中、つまりはおれとだいたい同じ程度にバカな連中のことだ。
こいつらは全く信用できない。
知性と呼べるようなものは何一つ持ち合わせていないくせに、他人にバカだと思われることが怖いものだから、信じてさえいないものにかんたんに身を任せてしまう。あまり頭の良くない人間が、物事を正しく選択したいと願うなら、結局は権威主義的に振る舞うことが最も賢いやりかたなのだし、バカどもにもそれくらいのことは分かる。権威を持つ人間が「バカは黙れ」って言っているもんだから、この中途半端なバカどもは彼らの尻馬に乗って「バカは黙れ」「バカは黙れ」の大合唱をはじめるのだろう。ほんでそのうちバカも「あ、バカっておれのことじゃん」なんて気がついちゃって、誰も何も喋ることができなくなってしまうんだろ。
おれはおれがバカだと思う人間の意見はフィルタリングして読まないし、おれの意見だってきっとバカ扱いでフィルタリングされて読まれていない。そんなことはバカにだって分かることだけれども、でも、だからといって、バカが自分から黙り込んでしまったら、この世はもうおしまいだろ。どうしても頭の良い人間だけで世の中を動かしたいっていうんなら、国会議員なんて全員クビにして官僚だけで社会を運営すればいいじゃん。