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あるプレステ派中学生からみた飯野賢治

 僕は飯野賢治さんのゲームをプレイしたことがない。プレステとサターンが覇権を争う90年代、僕はプレステ派だったので、サターンに移籍した飯野さんのゲームには手が出せなかったのだ。そんな僕にとっても、飯野さんのやることは、目が離せないほど刺激的だった。そもそも、プレステからサターンへの移籍の発表の仕方がすごかった。プレステのイベントでの新作発表で、プレステのロゴをサターンのそれに変形させて、そのままその場でサターンへの移籍を発表する、という演出は、「こんな漫画みたいなことをする大人がいるのか!」という衝撃を僕に与えてくれた。当時、中学生だった僕には、飯野さんが語ったソニー批判はしごくまっとうなものに感じられ、そのときばかりは自分のプレステがこの上なくダサく思えたものだった。
 雑誌などで伝えられる飯野さんの活動は、サターンへの移籍後ますます興味深いものになっていた。「エネミーゼロ」では、敵の姿は全て透明でみえないらしい。「リアルサウンド」にいたっては、ゲーム画面そのものが存在しないらしい! 当時、どんなゲームよりも、飯野さんの語る「次のゲーム」がすごそうに思えたものだった。僕はサターン派の友人Nくんの家で、飯野さんのゲームをみせてもらっていたのだけど、やはりちょっとみたくらいではその面白さはよくわからなくて、それでも「何かよくわからんが、とにかくすごそう!」と圧倒されたことはよく覚えている。遠くからみるだけで、実際にはプレイすることができなかったからこそ、それらはかえって強く印象付けられていたのかもしれない。
 サターン派であり熱心な飯野ファンでもあったNくんは僕によくリアルサウンドの良さを語ってくれたのだけど*1、サターンを持っていない僕にとってのリアルサウンドはラジオ版だった。僕はすっかり忘れてしまっていたのだけど、ラジオ版の名前は「ノンインタラクティブ」バージョンというらしい。いかにも飯野さんらしい、ハッタリのよく効いた良いネーミングだ。当時、飯野さんはビックマウスだなんだと揶揄されることも多かったけれど、彼の振る舞いは「これから世の中はどんどん面白くなっていくんだ」という希望を与えるもので、あのころは分からなかったけれど、確かに僕は飯野さんに憧れていたのだと思う。

*1:菅野美穂の演技が最高なんだよ!とか言ってた