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初恋のジェノベーゼは爪の味/五反田団といわきから来た高校生

前田司郎率いる五反田団と、福島県立いわき総合高等学校の生徒たちのつくった舞台。
面白かった!
高校生たちの活き活きとした演技がとにかくすばらしい。2時間弱の間、めちゃくちゃ笑わせてもらったし、何とく切なくなったりもしました。
謎の怪獣ポルプトンの出現を背景に、文化祭の準備に勤しむ高校生たちの恋愛模様が語られるこの舞台には、どことなく前田司郎の小説「恋愛の解体と北区の滅亡」を思わせるところがあって、宇宙人、怪獣、どんな非日常も、この世にあらわれた瞬間に日常と化していくし、そうせざるをえないという諦念もしくは開き直りを、「いわきから来た高校生」たちもいかんなく発揮しており、霞ヶ浦から怪獣が北上してくるというのに、彼らにはぜんぜん危機感がない。普段は陸上部が独占していて使えないトレーニングルームを使ってみたり、まるで時間が無限にあるかのように馬鹿話に興じてみたり、修学旅行の夜のように、誰が誰を好き、なんて話で盛り上がってみたり……。今のご時世からすると、ちょっと牧歌的すぎるかもしれないけれど、十分に荒んだ世相だったはずの僕の高校時代もまさにあんな雰囲気だったから、きっと今の時代にもああいう高校生たちは実在するのでしょう。ポルプトンの大きさの表現方法について、高校生たちが議論するところなんか、めちゃくちゃ面白かった。200メートルトラックを切って、伸ばして……。
全体に和気藹々としたグループのお話なんだけれども、そんな中にもやはり目立つ人と地味な人の差はあって、ともすれば忘れられそうになってしまう子供たちが、全力で自己主張していく姿には、たいへん胸を打たれるものがありました。来年もやるなら、ぜひまた観にいきたい。

恋愛の解体と北区の滅亡

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